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過蓋咬合(かがいこうごう)ってなに?

過蓋咬合

過蓋咬合とは、かみ合わせた時に、下の前歯が見えないような、前歯のかみ合わせが著しく深い噛みあわせを言います。
これは、歯の位置や傾きの異常によって起こっているもの、
上顎骨または下顎骨の位置異常や大きさの不調和によって起こっているものなどが考えられます。
成長期に過蓋咬合が認められる場合、正常な顎骨の成長が起こらず、いま以上にその状態が悪くなる可能性があります。

過蓋咬合の場合の矯正治療

■■5歳以下の場合、全ての歯が乳歯の場合(永久歯が一本も生えていない状態:乳歯列期)

乳歯列の場合の“過蓋咬合”は、通常、経過を観察する場合が多いです。
半年に1回定期検診にお越しいただき、歯並びの状態がどのように変化してきているのか、その他に問題が引き起きていないか、などをチェック致します。
ただし、過蓋咬合になっている原因が、何なのかをきちんと調べておく必要があるかと思います。
この年代の過蓋咬合は、悪い癖などによって歯並びが悪くなっている場合が多いようです。
この場合、歯並び自体の治療は行いませんが、悪い癖をなるべく止めれる方向に誘導致します。この悪習癖を除去することによって、2次的な不正の防止や過蓋咬合が改善することがあります。

■6歳から10歳の場合(永久歯が数本生えている場合:混合列期)

通常、永久歯が、数本生えてきています。
この段階で、すでに前歯が出っ張って、かつ深いかみ合わせになってしまうことがあります。
これには、
前歯の歯の生え方が悪くて出っ歯、過蓋咬合、になってしまった方。
あごの発育がバランスよく成長せず、あごの骨ごと過蓋咬合になってしまっている方。
悪い癖(下唇をかむくせ、指しゃぶり、口呼吸など)によって、過蓋咬合になってしまった方。
などがあります。

治療開始の時期:

通常、矯正治療の開始や管理下に入るにふさわしい時期です。
このような状態になってしまった場合、きちんと現状の状態を専門医に確認してもらう必要があります。通常この時期より矯正歯科医の管理を受けていただくと、将来的にも悪いかみ合わせになりにくいと思います。

Q: 過蓋咬合の矯正治療は、すべての永久歯が生え揃ってから、開始すればよい?
A:答えは、NO です。
もちろん個人差はありますが、すべての永久歯が生え揃ってからでは、遅い場合があります。
悪くなった歯並びを治療するのではなく、悪くなる前に治療をする!ことをお勧めいたします。
特に、あごの発育が悪い方の場合、成長期を利用して、あごの発育が良好になるよう誘導することが出来ます。
またこの時期より矯正を開始すると将来的に永久歯の抜歯を回避できる場合があります。
抜歯は、“絶対いや”と言うご両親は、この時期に、ぜひご相談に!。
アメリカ矯正歯科学会、日本矯正歯科学会では、7才までに専門医の診断を受けていただくことを推奨しています。

治療法:

あなたのお口の過蓋咬合になった原因や程度にもよりますが、
前歯の傾きを改善する方法(通常治療期間6ヶ月前後)、
あごの発育を誘導、改善する方法(通常治療機関1〜1.5年前後)
悪習癖が強い場合、癖をやめれるようにトレーニングをする場合、などがあります。
通院は、約4週間から6週間ごとになります。

装置:

この時期には、通常の全体的な矯正装置(いわゆるブレース)は必要ありません。
もっと簡単な装置で、矯正治療が可能です。
歯の裏側につける装置(固定式の装置)やマウスピースのような装置(取り外しの出来る装置:この場合、在宅時のみ使用。外出中は必要ありません。)を使用する方が、ほとんどです。

■11歳以上25歳未満の場合(永久歯列期)

全体的に歯並び・噛み合せを治療する方法と、部分的に気になるところだけ治療する方法があります。
過蓋咬合の原因、程度のよって多少変化致しますが、通常全体的に治療する場合、全体的な矯正装置(いわゆるブレース)が必要になります。

治療法:

1.あごの成長が悪く、かつ全身成長が大きく残っている場合(身長が伸びている方)
あごの発育を良好にする為に、あごの骨の矯正を行います。
成長の度合いはかなり個人差がありますので、成長期のどの時期にあるのかは手の平のレントゲンを取って確認します。そこで成長が残余していればあごを矯正します。

2.あごの発育が悪いが、成長が残っていない場合(身長がほぼ伸び切ってしまっている方)
あごの発育を良好に誘導するということは、出来ませんので、今の骨格のまま歯を移動して過蓋咬合を改善します。骨格性の不正が強い場合、歯を抜歯する確率が高くなります。

3.歯の過蓋咬合が、比較的わずかな方(過蓋咬合のわずかな方)
この場合、永久歯の抜歯は行わない場合が多いです。
治療期間も通常の方(2〜3年)よりも比較的短期間に終了する場合が多いです。(約1〜1.5年)

4.歯の過蓋咬合が、比較的大きい方(過蓋咬合の大きい方)
出っ張った前歯を後退させるスペースがあるか、すべての永久歯が現在のあごに並びきるかどうかは、精密検査を行って判断します。
現在のあごに今生えている歯がすべて収めることが出来ず、あごの骨から歯が溢れかかっている状態の場合、永久歯の抜歯が必要になる方もいます。
ただし通常の矯正治療法に加え、その他に付加的な装置(例インプラント併用法)を併用することにより、歯の抜歯を回避できる方もいます。治療期間は、約2年前後。
また、インプラント併用法の場合、永久歯の抜歯の回避に加え、治療期間の短縮が可能です。

■おとなの場合 [20代後半以上](成人矯正)

おとなの場合、基本的治療法や装置は12歳以上25歳未満の場合と同一ですが、次の点に注意してください。

矯正治療は、基本的には、おいくつになってからでも開始することは可能です。
ただし、歯周病などが罹患している状態でそのまま矯正治療を開始してしまうと、歯周病が悪化してしまうことがあります。逆に、歯周組織がよくコントロールされた状態で歯列矯正を行うと、歯槽骨(歯ぐきの下の骨)の状態や歯肉が良好になること、プラークコントロールがしやすく、また噛み合せが安定して、歯がもちやすくなることなどが報告されています。
成人矯正の場合、歯周病の問題をどのように対応するのかで、治療の効果は、全く逆のものになってしまいます。「自分は歯周病なんか大丈夫」と思っている方も多いと思いますが、歯周病は20代後半より程度の差はありますが、何方でも罹患をしているというデータも存在します。いわゆる国民病、生活習慣病です。
また、歯周病は全身疾患との関連性が強く、妊婦への悪影響(未熟児など)、糖尿病や心疾患への悪影響など様々な悪影響を及ぼすことが最近わかってまいりました。
矯正治療を開始する前に、きちんと歯ぐきの専門家のチェックを行うことが必要です。

治療開始の時期:

歯周初期治療終了後

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